登山用地図アプリの評価(iphone編)


 このページは、androidスマホ用に作成していた「登山用地図アプリ比較・評価」をiphone用に修正したものです。

 地図アプリは、無料あるいは無料に近いものを取り上げており、iphoneでは動作しない「山旅ロガーGOLD」に替えて「スーパー地形」を加えました。このページは、android編を補足するものとし「スーパー地形」を中心に説明しています。 

      2021.03.24 

 

 このホームページの内容はスマホ用ですが、パソコンでの閲覧を意識して作成しています。

 

 最初に、各地図アプリの特徴・機能比較概要を示します。       

 

 

 スーパー地形は「丁寧に作られた地図アプリ」です。マニュアル、地図の体系、操作の全てが良く整理されています。

 そして、アプリの機能は豊富です。マニュアルも丁寧に書かれていますので、よく読めばわかります。しかし、機能の多い分、読まなければならないマニュアルの量も増えますので、IT初心者に好まれるとは言い難い地図アプリです。

 山で「スーパー地形」を使う上で素晴らしいのは「地図のダウンロードに制限がない」ことです。地図は左の画面のようにブロック化されているので、そのブロックを選ぶだけでダウンロードできます。ダウンロード済は紫、未ダウンロードはピンクで表されています。

 

 キャッシュ機能も備えていますから、地図のダウンロード機能で不足するものはありません。

 

 ヤマレコアプリは予定ルートと地図という提供方式以外にも、同様のブロックでも提供していますが、最大2つまでです。

 山旅ロガーGOLDとジオグラフィカの一括ダウンロードは利用者が領域を設定する必要がありますので、このように簡単にはいきません。

 YAMAPアプリは山単位に月に2つまでです。

 地図のダウンロード機能は、「スーパー地形」が群を抜いています。


 スーパー地形の操作は階層化され整理されています。

 例えば、「GPS」というタブを開くと、GPSに関することの操作が行えます(左の画面)。GPSログの開始・終了、トラックの作成、ルートの作成などが行えます。しかし、ログの開始や終了といったよく使うボタンは、最も簡単に操作できるところに、目立つようになっていると便利ですが、上記のように、1階層深いところに他の操作と同じ大きさで表現されています。

 所が、この問題は、ショートカット機能を提供して解決しています(右の画面)。メインの画面上の「+」ボタンをタップすると、よく使う機能であるGPSログの開始やナビの開始といった項目が現れますので、そこから簡単に操作できるようになっています。本当に良く考えられて作られています。 


 しかし、他の地図アプリの方がいいなと感じられることが2点あります。

 ひとつは、スピーチ機能です。スピーチ機能はナビ機能を動作させていないと動作しませんが、ジオグラフィカやヤマレコアプリは、ナビ機能とは独立しています。いつも行っている山で道はまず間違えないという場合はナビ機能を有効にしませんが、どの程度まで登ったかといった情報は、励みにもなりますので聞きたい情報です。

 ※ このスピーチ機能は2022.3.2のv5.2.0で仕様変更され、可能となりました。

   スーパー地形の設定で、トラックの記録時にスピーチを有効とするか否かを選択できます。

  また、ナビ機能に関する不思議な仕様です。日常の登山では、ピストンか周回が多く、出発点と到着点は同じくなりますが、トラックナビを開始すると、出発後、すぐに到着してしまいます。従って、少し経過してからトラッククナビを開始する必要があります。

 この辺は、山では、まだ使い込まれていないのかなと思わせるものがありますが、改善もされていくものと思います。 

 

 もう一点は、予定ルートの作成機能です。

 ※スーパー地形では、ルートはポイントとポイントを結んだもの。登山道に沿ったものはトラックと称します。上記の予定ルートはトラックを意味して使用しています。

 

 ヤマレコアプリやYAMAPアプリは、登山道のポイントとポイントを繋いでいけば予定ルートが描けますが、スーパー地形では、登山道上を細かく繋いでいく必要があります。この操作は結構大変です。

 ヤマレコアプリやYAMAPアプリの方式は、登山道データを用意する必要があり、このデータ作成は力仕事となります。ジオグラフィカも山旅ロガーGOLDもそうですが、個人で開発しているアプリで、登山道データを作成し提供しようという気にはならないのだと思います。

 予定トラックが必要であれば、「ヤマタイム」や「ヤマプラ」そして「らくルート」などで作成し、スーパー地形にダウンロードするというのが実際的な利用法に思います。

 

 

 次に、スーパー地形を利用する上でのITスキルについて触れておきます。少なくともITスキルが殆ど無いという人は避けた方が安全です。とても良いアプリですから使って欲しいと思いますが、下の図の左側に属する地図アプリも心もとないという方は残念ながら諦めるのが良いでしょう。

 しかし、身近に、このアプリを使用している人がいるのであれば、その人に教えてもらいながら利用していくという方法がとれますので、そのような場合は利用可能です。 

 

[スーパー地形の感想]

 スーパー地形は、登山専用ではなく、自転車愛好家、街道歩行者、さらにはパラグライダーやハンググライダー愛好者およびドローンまでもが利用できます。地図があるところの海上・陸上・空中は使えるようです。

 

 とても利用範囲が広いので、自然と高機能となり、機能の多さがマニュアルの厚さとなり、結果として難しさを感じさせる地図アプリとなってしまっているように思います。

 

 ジオグラフィカのインターバルスピーチでは「もうすぐお昼です。今日は何をたべますか?」といったことを言ってくれます。私は単独で行動することも多いので、このようなスピーチには思わずほっこりします。スーパー地形では、そのような言い回しはありません。尤も、この点は他の地図アプリも同様で、ジオグラフィカが異色です。

 予定したトラックから外れると「56メートル離れました」などと音声案内します。GPSってそんなに正確じゃないだろうなどと思ってそのまま歩くと「72メートル離れました」と相変わらず細かな距離を案内します。最初は違和感がありましたが、離れているということが明確になりますので納得しています。

 

 また、スーパー地形の売りでもある「パノラマ展望図」は、オンライン状態で展望図が描かれますので、電波の届かないところでパノラマ展望図を表示させようとしてもできません。あらかじめ、電波の届く所で展望図を作成しておき退避し、その場所についたら開くという操作が必要になります。突然、この場所で見える山を確認したいといった利用には適していません。Peak Finder は、電波の届かないところでもパノラマ展望図を表示してくれますので、私は、もっぱら、そちらを利用しています。

 

 前にも書きましたが、予定ルート(スーパー地形ではトラック)の作成機能を除けば、素晴らしい地図アプリであることは間違いありません。

 

 しかし、ヤマレコやYAMAPに記録をアップするのであれば、それぞれのアプリが便利ではあります。

  

 上記の表で比較しているのは、私が、初心者が利用するであろう範囲を想定して比較項目としているものです。各アプリは、この表で示している内容よりもはるかに多くの機能を有しています。その点をご承知おきのうえ参考にしてください。

 

 スーパー地形の詳細は、以下のホームページで説明されています。こちらを参照ください。

  https://www.kashmir3d.com/online/superdemapp/manual/


2023.10.27 機能比較概要を更新(スーパー地形の価格、YAMAPの離脱監視機能は有料で提供されている)。

2021.03.24 iphoneで動作する地図アプリの評価を追加